とろとろと潤み続けお尻や陰毛まで濡れている…


女性自衛官との性交について記す。
少し昔のことだ。16~7年前くらいだろうか。
 最近、「女性自衛官」という言葉に替わったが、ついこの前までは「婦人自衛官」と言った。この婦人自衛官のことを、陸上自衛隊では「WAC」という。
Women’s Army Corps の略である。婦人自衛官というよりも、この英語の訳なら、むしろ「女軍」というほうが正しかろう。
 婦人自衛官制度そのものは昭和20年代からあるが──看護婦の自衛官は昭和27年、一般の婦人自衛官は昭和43年から採用されている。
旧態依然に見える自衛隊の、一風変わった進歩具合も見えなくもない──、私が勤務していた部隊にWACが配置されるようになったのは、
ようやく平成に入ってからである。
 私は当時、3曹になって5年目、仕事にやりがいもあったが、今思えば稚気にあふれていた頃でもあった。

 自衛隊では、一般の企業などとは違って、かなり長期間にわたって教育をほどこす。
わかりやすいところでは、防衛大学校の4年というのもかなり長いし、一般の隊員でも1年以上は教育期間である。

素直に考えれば当たり前のことで、ほかの知識・技術なら高校や大学、
また専門学校で学ぶことも出来るだろうが、平和日本のどこの学校で、造兵学だの安全保障論、機関銃の撃ち方やら榴弾砲の構造、人の頚椎の折りかたなど教えるだろう。

 私が所属していたその部隊に、教育を終えたWACが入ってきた。新隊員は更に引き続いて、「特技教育」と言って、専門的な技能を付与する教育を3ヶ月ほど行う。私はその「助教」(教官を補佐するもの)を命ぜられた。WACは4名いた。

その中に、彼女、山本がいた。当時2士である。
私の目には、彼女らはとても幼い子供のように見えた。
 当時の私が口をきく女性は、外出などしたときの酒場の女性くらいであり、そのスレ具合に比べれば、4人のWACは小学生そのものであった。

 当時の私は才気煥発なほうで、また、怒鳴りもすれば暴力も振るうたちであった。しかし、こんな子供子供した4人の少女に教育を施すことになるとは思いもよらぬことで、内心途方にくれた。

 当時は既に、自衛隊の勤務環境を魅力化しようと、さまざまな緩和施策(『輝号計画』と呼ばれた)が少しづつ実施されており、それより以前ほどの殺伐さはなくなっていたのだが、訓練や日常の生活はまだまだ殺伐としていた。

私のいた部隊に限ってかもしれないが、仕事や生活はまだまだ怒号が左右していた。わたしはそんな殺気立った若手の急先鋒だったのである。
 その私が、どういうめぐり合わせか、高校を出たばかりの少女の教育を担当することになってしまったのだ。

 教育そのものは順調に進んだ。だが、やりにくいことこの上なかった。
男どもに対する教育であれば、間違った操作などをすると、「どこ回してんだ!!こっちだろうが馬鹿!死ぬかコラ、あ?」などと怒鳴りつけ、体の向きを直したり、蹴飛ばしたりもできる。

私自身もそうやって装備の操作を身につけてきた。
だが、相手がこんな子供のような少女では、体に触れるわけにも行かず、蹴飛ばすわけにもいかず、正しい操作をさせるのにアゴが疲れるほどしゃべらなければならなかった。

 そのくせ、彼女らは子供子供したなりとは裏腹に、妙に理屈っぽく、つじつまが合わないことがあると、さも不思議そうな大きな目を見開いて、
「でも班長、さっきはこうおっしゃったじゃないですかぁ」
などと、頬を赤らめて詰め寄ってきたりする。

なのに、基本教練をやったり、体力練成で駆け足などさせると簡単に泣いたりして、どうにもこうにも勝手が違い、面倒を見かねた。
だが、意外に、怒鳴りつけたりするのには彼女らは強かった。

強いというよりも、怒鳴ると、まるで何か変わった物でも見ているかのようにじっと私の顔を見ているばかりで、なんだかちっともこたえないような感じなのだ。女を怒鳴りつけるとこんな反応をするんだな、と、妙なところで私は学習した。

男なら、むしろ蹴飛ばしたり叩いたりしたほうが反発し、敵愾心に満ちた目を向けてきたりする反面、面罵したりするのには弱く、ちょっと「コラ」と言っただけで涙ぐむ奴さえいるのだが・・・。

 怒号でならした鬼伍長も、小娘相手ではかたなしで、しどろもどろになりつつ、やっとの思いで特技教育を終えたことであった。

 その後、彼女らのうち1名は、中途退職と言って、2年任期、──つまり、契約社員の2年契約のようなものと思えばよかろう──を満たす前にさっさと中途退職してしまい、1人はなにやら、「大切なひとり娘に銃を持たせたり殺人術を教え込むとは約束が違う」などと、ワケのわからない理屈で両親が怒鳴り込んできて連れて帰ってしまい、もう1人はどうしたなりゆきか、民間人と結婚して、これも中途退職した。民間人と結婚したWACは、ちょっとカワイイと評判だったので、中隊の丸坊主のムサクルシイ男どもを大いに落胆させたものだった。
結局中隊に残ったのは、山本だけだった。

 山本は色白で、体は細かった。背は165センチほどあった。目鼻がはっきりしていて、口は小さかった。

誰にも似ていないから、芸能人には例えようがない。雛人形の顔立ちを「濃く」して、目を大きくしたような顔である。当時の規律で、ワカメちゃんに近いオカッパ頭だった。

頭が良かった。何がそんなに面白おかしいのか、くるりくるりとよく笑った。しかし、本気で笑っているのでもないようなふしもあった。
子供と大人が同居したような感じで、私は内心、ちょっと山本を気に入っていた。

 山本以外のWACが辞めてしまって少し経った頃、演習があった。およそ1ヶ月ほど演習地に宿営し、訓練をした。さまざまな規律が緩和されていた当時としては、珍しく.かなり長期の演習と言えた。

 しかし、演習は長期になるとかえって楽な面もあった。部隊にもよるが、1ヶ月間ブッ通しで戦闘行動をするわけではない。訓練の合間に休務になることもあり、そんな日はゆっくりと昼寝をしたり、許可が下りて、近傍にある温泉に行くこともできた。

 小隊長が「おい、温泉行くか?」と声をかけ、小隊陸曹が「おーい、お前等、ちょっと来いや」なんぞと隊員を集合させる。

私もイソイソとその尻馬に乗り、温泉に行って、さっぱりしたものだ。だが、その日、私は2200(午後10時)から弾薬庫の警備の当番に当たっていた。

演習に使う弾薬を、夜間も休まず警備するのである。1時間交代だ。
 せっかく温泉に行ったのに、冷えちまうよォ。天幕の前に置いた椅子に座ってブツクサこぼしていると、山本が寄ってきた。

「班長、今日弾薬ですよね」
「・・・ああ?おう。」
 私は山本の班長ではないのだが、山本が班長、と私を呼ぶのは、自衛隊では陸曹に呼びかけるときに、「班長」と言う習慣があるからだ。

同様に、2尉・3尉に呼びかけるときには「小隊長」と言う習慣もある。これらの呼び方は、どちらかというと、
少し親しみを込めて言うようなときに使う。
「せっかくおフロ行ったのに、かわいそー」

「なんだよ」
「・・・班長そんな、キレ気味に『なんだよ』とか言わないでくださいよう」
なんだか、山本が言いたいことがわからない。
「俺の弾薬庫警備がどうかしたか」
山本はくるりと周りを見回した。何だと見る間に、ぱっと私の耳に顔を寄せ、
「班長、ちょっと話を聞いてほしいんですけど」
「・・・なんだ?」
「ちょっと相談なんです」

驚いて山本の顔を見返すと、真剣な顔をしている。
 教え子だ。私は、同じことを言っているのが男だったらどうだろうと考えた。

やめたいんです、つらいんです、足が痛い腰がどうも、妊娠させちゃいましてちょっとどうにかなりませんかね、

今度の土日なんですけどちょっとどうしても用事があるんですわ外出許可オネガイします、実家で家業を継げって親父が言うんです、実はカネ借りてまして、50万ほど・・・。

男の相談なんてそんなものばかりで、本当にどうしようもなく、反吐が出そうなほどくだらない。
しかし、そんな馬鹿馬鹿しい、7割はウソの話でも、聞いてやらなくてはならない。ならば、女のこいつの話も、平等に聞くのがスジだろう。山本の思いつめたような顔を見てそう思った。

「わかった。どうすんだ。」
「弾薬庫行きますから」
「・・・。ああ?オマエなァ。考えろよ」
そう言うと、山本がちょっと悲しそうな顔をする。

 言うまでもなく弾薬庫の警備は大切な事柄だ。もし弾薬が盗まれでもすれば、大変なことになってしまう。警備をしながら教え子の小娘の相談を聞くなどどうしてできるものか。

「ダメなんですか?」
 すばやく思案する。自衛隊も風紀にはそれなりに気も使っている。私が彼女の寝ている天幕へなど行った日には、いかに私が彼女の助教であったと言っても、大騒ぎになってしまう。

 「待て待て、わーったって。弾薬終わってから、廠舎の物置のところへ行ってやっから。」
「ありがとうございますー。」
 だが、この山本が、借金しているだの酒でヤクザともめてますだの、そんな相談をするだろうか。

こんな少女漫画みたいな顔立ちの子供子供したのが、夜中に陸曹を呼び出していったい何の相談だろう。そもそも、やり手のプレイボーイでもないこの私に、

彼女が相談を持ちかけて解決する問題などあるのか。私にわからないような女の問題をふっかけられたのではどうにもならない。生理が不順ですなどと言われても、私にわかるわけなどない。

 私はすっかり頭が痛くなってしまった。曲がりなりにも教え子である。彼女の信頼には応えなくてはならない。ボソボソと夕食をかき込み、消灯時間より少し前に弾薬庫に向かった。

 前直から弾薬庫の警備を申し受け、弾薬を取り囲む土手の上に立つ。1時間などあっと言う間である。やってきた次の直に申し送り、廠舎からほど離れた資材庫のところに行く。
山本が来ている。

「・・・どうした」
「あ、班長」
 私は少し緊張した。野郎のくだらない相談なら、いくつか解決もしてきた。しかし、こんな小娘が夜中にわざわざ呼び出しての相談だ。どんな未知の難題か・・・。
「疲れるな。座れよ」
 倉庫のウラの犬走りを指差す。少し離れて、二人で並んで座った。煙草に火をつける。

「班長」
「・・・うん」
「班長、結婚とかしないんですか」
ゲホッ、と私は煙とツバをむせ込んだ。
「なんだおま。」
「班長かっこいいから」
「・・・?」
 私は山本の真意を測りかねた。何かの前置きで、重大な相談事がこれから展開されるのか?

「で、どうしたんだ」
「だから、班長の恋人とか」
 ハァ?何を言っているのだコヤツは。山本のほうを見てみた。倉庫の犬走りのコンクリートに「三角座り」をして、自分のつま先の辺りを見ている。月が出ていて、明るい。山本の頬が白く浮き立って見える。頬骨のあたりが少し赤い。

「班長とお話したかっただけですよ。」
「?・・・何」
「班長ちゃんと来てくれたんですね」
「ハァ・・・?」
「班長やっぱり優しいや」

 不意に山本は立ち上がると、私の後ろに回り、どさっ、とおぶさってきた。ふっ、と、女のにおいがした。少し驚いたが黙っていると、私の肩にあごを乗せ、
「班長、あったかいですね」

「だから、なんかあったのか?」
「いいえ。班長と二人になりたかっただけ。」
「・・・よさんか」
「いやですよ」
「オマエなぁ」

 それには答えず彼女が私の背にしがみついてくる。彼女の頬が私の耳あたりに触れている。しばらくじっとしていた。後ろに手を回し、彼女を前に来させた。座らせようとすると、なりゆきで、私の膝の上に座らせるような格好になった。

バランスが崩れそうになったので、彼女は私の首に手を回して体をささえた。また、しばらくじっとした。彼女の顔を見たら、目を閉じたので、キスをした。私も若かった。急速にそういうモードに入ってしまった。

 しかし、こんな子供子供した山本が、俺を誘惑するのか?それにクラクラと走っていく俺って・・・?頭の隅でそんなことを思いつつ、私も、単純に性欲をもてあます男だった。

今思うに、山本とても、愛だのぬくもりだの以上に、性欲をもてあましていたのかもしれない。

当時の私には、そうした、若い女の生態に関する知識はあまりなかった。
 抱きしめると、戦闘服の中の体が、見た目以上に、とても細いことがわかった。戦闘服の空気がぼふっ、と抜けて、細い体をダブダブの戦闘服で膨らませていることがよくわかった。

当時、WACの戦闘服は男のものとは違う専用のものだったはずだが、どうしたわけか、
山本は男物の戦闘服を着ていた。おそらく、演習では戦闘服が傷むから、予備に受領したものか、私物でも着ていたのだろう。

 彼女の首筋に顔を寄せると、ふわりと意外になまめかしい女のにおいがする。肌は白く光るようなスベスベの肌だった。まるで赤ん坊の頬のような肌だ。
がさごそした綿ポリエステル混紡の戦闘服と、山本の肌はあまりにも不釣合いだった。

 戦闘服のチャックを少し下ろしてみる。抵抗しない。中ほどまでチャックを下ろしてみた。白いブラジャーが見える。手を入れてみる。

「んきゃっ」
と、小さく声を上げた。「冷たいですよぉ」といってケロケロ笑った。
 「おう、スマンスマン。」そう言ってもう一度キスをした。ちょっと深刻な感じの場が、それで少し和んだ。

 ブラジャーの横から腋あたりに手を入れると、「んぅ」と彼女が声を立てた。普段の子供子供した彼女からは考えられないような声だったので、私も興奮した。

そのあたりのスベスベした肌の感触が心地よい。さらさらとなでると、「んふ、ァ・・・」と小さく喘ぐ。

 ブラジャーを横からズリ上げるようにすると、たいした抵抗もなく上にずれ、やわらかい胸に触れる。痩せている。わき腹のあたりを触ると肋骨が触れる。胸がそこだけ餅菓子をくっつけたようにぷゆぷゆとやわらかい。乳房を手に包んでみたりする。

揉むには彼女の胸は小さめで、揉むというよりつまむような感じになる。手を動かすと「は・・・ん・・・んん」と声を漏らし、体がひくり、ぎくりと動く。

やわらかな乳房の先端を見つけて、手のひらでまわすようにすると声の質がすこし変わった。
「あ、あ、んっんっ」
 おなかのスベスベした肌をなでてみる。
女なのに脂肪が少なく、手のひらに細く締まった腹筋が感じられる。そのせいか、触ると敏感で、手をおなかの上でさするように動かすたび、ぎく、びく、と体がすくむように動く。

戦闘服のチャックの間に顔を入れ、おなかの辺りをさすりながら乳房の下の辺にキスしてみる。
何度か繰り返す。彼女の腕が私の頭を巻き、胸を私に押し付けるようにする。乳房の下辺をすこしなめてみたり、さすったり、キスしたりする。

反応がないので彼女の顔をふと見上げると、恥ずかしそうな困ったような、それでいて微笑んだような、うっとりとした顔で私を見つめている。

「どうした?」
「・・・班長、私のおっぱい、かわいいですか?」
 いわばその時の彼女の表情は、慈母のそれである。私はむくむくと愛しさが募り、彼女の首の後ろに腕を入れ、腰に手を回して、彼女を横にする。ぐっと抱きしめて唇を吸った。

「んう、」舌をこじ入れると彼女も素直に唇を開き、遠慮がちな彼女の舌先がこちらにも届いてくる。

顔を離して彼女の弾帯をはずす。戦闘服のチャックを下まで下ろしてはずす。
ブラジャーが彼女の首の辺りでたくれたままだ。細い彼女の上半身が月の光で白く見える。
ほおが赤く、じぃっと私を見ている。彼女の横に半身になり、乳房を回すように下から撫でる。

白い胸元に唇を寄せ、なめる。乳首は白っぽいような色をしていて、やわらかい。
乳首にキスをすると「んッ」と声が出る。唇に含むとキュッと乳首が締まり、また「あん」と声が出る。柔らかかった乳首が硬くなる。

唇を離すと、白っぽいと思った乳首が、ほんのりと赤みを帯びてとがっている。両方の乳房をさすり、なめ、吸い、キスし、乳首を唇に含むことを夢中で繰り返した。

 乳首を吸いながら右手をおへそのあたりから下に伸ばしてみる。彼女が息を呑み、体を固くする気配がする。パンツの布があり、その下に手を入れるか、上に行くか私はちょっと迷ったが、少し楽しもうという気持ちもあり、パンツの上に手をそわせた。

「ふっ、ん、ふぅ、あ・・・」と彼女の息が漏れる。
 ぷっくりとやわらかい盛り上がりがわかる。やせていて下半身にあまりムダな肉がないせいか、陰阜が愛らしく大きく感じられる。

掌を回すようにゆっくり動かすと、おこりにかかったように彼女の体が大きく波打ち、「はんん・・・」と声が出る。

 指をもっと下のほうに入れようとすると、これは意外に強く股が締まり、「ぁ、だめっ」と言う。しかし、どうも反射的にそう言ってしまっただけのようで、私がじっと目を見て動きを止めると、股の力がすっと抜け、私の手を受け入れる。

人差し指で性器のあたりをなぞるようにすると、ふるふると震え、びくりぎくりと体が動き、腰がハネ上がる。「あっ、あっ、ふっ」と声を上げる。

そのまま彼女の頬や額にキスして、唇で乳首を挟む。そうしながら、右手の人差し指はくるりと回したり、上下になぞったり、内もものすべすべした肌をさすったりする。

「あ、あ、んっ、あ、ぁん、あんッ、ふぅう」
 パンツの布がお尻の肉にかかるあたりで食い込んで、お尻の肉とも、彼女の陰唇ともつかぬふるふると柔らかな肉がすこしはみだしているのがわかる。そこが濡れている。その部分をヌルヌルと指でさわると「やぁ・・・やん」とかわいい反応が返ってくる。

 一旦手を抜き、パンツのゴムをくぐってみる。陰毛の茂みがある。湿ったような、意外としなやかな手触りの陰毛だった。
撫でてみる。すこし引っ張ったり、かきまぜたり。「あんー」と、一段と声の質が変わる。

「班長はずかしいです」
「・・・お前かわいいな」
 まったく会話になってないが、二人とも興奮しているから、そんなものだ。彼女の胸に吸い付くと、心臓のある辺りが目で見てもわかるほどトクトクと鼓動している。

 そのまま手を進めていく。少し指が進むたびに「あ、ん、ん」という声とともに彼女のおなかの辺りがハネ上がる。

 彼女の複雑なところに指が届く。上のほうは乾いているような感じだったが、指を進めるとトロリと濡れている。人差し指をすくうように上へ探ると、ちいさい肉のとがりがわかる。そこに指が触れたとたん「はんっ!」とひときわ大きく彼女の体が爆ぜる。

「びっくりした?」
「だって班長ぅーあ、あ、あん、はん、んふッ、はんんー」
 その間も指を休めず、とろり、ぬるり、と彼女の潤みの中を探り続ける。ときどき小さなクリトリスをつるりとなで上げる。クリトリスを左右にぬるぬるといじると、「きゃ、あんっあんあんあんあああっ」と、指に合わせて声が出る。

「やあああん、やん、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、はぁ、ふぅ、あ、あ、あ、あ・・・」
お尻の下のところまでびしょびしょに濡れている。
 顔を離して眺めると、二つの乳首がぴんと硬くとがっている。白く光る上半身がキレイだ。

右手で敏感なところをまさぐりつつ、乳首を舌でくるくると回したり、チュと吸ったりする。このままいつまでも彼女のかわいい体を愛したい、と真剣に考えた。
初秋の演習場の、資材庫の裏である。彼女の手がひやりと冷たい。

「寒いか?」
「・・・はい」
 私も相当欲情していた。ペニスは反り返るほどに膨満し、ズキズキとしていた。しかし、改めて子供子供した彼女の眉宇を見ていると、自分が犯罪行為を犯しているような錯覚に襲われた。思わず彼女の頭を子供のように撫でて、
「ごめんな。いいコだな」と言った。

「アッハ、ちっちゃい子みたいですね」
 彼女の首の後ろに手を回して抱き起こす。ブラジャーを元に戻してやり、戦闘服のチャックを上げてやる。そのまま抱き寄せ、キスする。私の胸の中に体をもたせ込んでくる。

「班長って、見た目よりもガッチリしてるんですね」
「ん・・・?」
何を言いたいのかわからないが、私に甘えたいのはよくわかった。
「山本、なんで。」
と聞くと、けろけろと笑い、
「だって班長好きだからじゃないですかあ」と言った。

「班長今日、高橋士長蹴飛ばしましたよね」
「ん?あー、そうだっけ?」
「私、中隊CPから見てたんですよ」
「そうか」
それは確かだった。

 自衛隊では、こうした野営の際には、林の中に穴を掘って、そこでクソをする。個人ごとに勝手に掘る場合もあるが、こんな演習の場合は1箇所にまとめて掘る。中隊の人数も多いから、狭く深く、ある程度の個数を掘らなければならない。

宿営準備がある程度片付くと、中隊の野郎どもが3~4人集められ、天幕からそこそこ離れた林の中や、丘の裏あたりに便所を掘りに行く。掘った土を穴のそばに盛り上げ、円匙(スコップのこと)をそばに置いておく。クソをした奴がその都度、その円匙で少しづつ穴を埋めていく。

 野糞をしなければならないのは、気の毒な気もするが女性も同じことである。
風紀上の問題があるから、野郎どものとはかなり離れた、反対側に穴を掘り、厳重に囲いをしたりする。

わが中隊のようにWACが1人しかいなくても、WAC専用の便所を作っておかなければ、もしも破廉恥な事故がおこった時に具合がわるい。そこで、集められた野郎どもは、主力の便所を掘りついでに、WACの便所も掘る。
それが、野郎どもには屈辱に感じられるのである。

 なんで俺たちがあの高慢ちきで生意気な、俺たちより階級も下のブスのトイレ掘らされるんだよ。
そういう気持ちである。

 今朝、中隊の便所がほどほどに埋まってきたので、新たに便所掘りを言いつけられた2~3人の中に高橋という士長がいた。声高に

「なんで俺が山本の便所掘るんだよ。クソもしねぇような顔しやがって、ガバガバのクセによ、どうせアイツ大糞すんだぜ、仕事しろよなクソWAC」
などと言ってなかなか作業に取り掛かろうとしないのを見ていた私は、掘る便所がどうとかいうより、命ぜられたことを不満を飲んででも実行しようとする気概がないことに腹が立ち、いきなり高橋の膝の裏あたりを10回ばかりも蹴り付け、怒鳴ったのだ。

 私もWACの便所掘りなんかいやだ。しかし、しなければならないことは理屈に合おうが合うまいがする。それが自衛隊だ。
私は高橋の首をつかみ、引きずるようにして裏の林に連れて行き、高橋が見ている前で私自身がWAC便所を掘った。他の士長1士もゾロゾロとついてきた。

私が便所を掘るのを、高橋はボンヤリと眺めていた。それが私のカンによけいにさわった。中隊本部前に連れて行き、いきなり配食台に高橋の顔を打ち付けてやったのだ。「コラ高橋。陸曹にWAC便所掘らせて、オマエはボヘ~っと見てるだけかい。ああ!」

 中隊の陸曹たちは、私より上の者も下の者も、あ~ぁ、また始まったぜ、田中は癇癪モチだからな、程度の目つきで、薄ら笑いを浮かべながら私のすることを見ている。
誰が見ても高橋が悪いので、当時はこの程度のことなど問題にもならなかった。

 その一部始終を中隊CPから見ていた、と山本は言ったのだ。中隊CPを片付けたり、中隊長にお茶を出したり、こまごまと用事をしていたらしい。

「私、高橋士長、イヤなんです。」
「ん」
「忘年会で絡んできて、ラブホへ押し込もうとしたり」
「・・・」
「イヤですって言ったら、今度は、私の悪口言ったりするし」
見ると、悔しそうな顔をして、ちょっと目が潤んでいる。

「なんかされたのか?」
「いいえ」
「そうか、そんならよかった」
 山本が体を寄せ、私の肩に頭をもたせてくる。しばらくそのままにさせておいたが、もう夜もふけ、2400(24時)になろうとしている。
私は少し考えて言って見た。
「お前、俺の彼女になれ」
「・・・えーっ」
「いやか?今度デートしようぜ。代休で。」

「あはは、なんですかそれー。いいですけど。」
「そうしたら、中隊で文句言うヤツいなくなるだろ?」
「わー、班長ジャイアンみたい。」
「お前もとりあえず安心できるだろ、そしたら。」
「・・・あー、そういう意味ですかー・・・。」
私の顔を大きい目でじぃっと見る。

 確かに、当時の私は、若くはあったが、中隊の幹部や年配の陸曹からも、ほとんど文句を言われたことがなかった。

仕事をちゃんとしていたことと、私がやかましいたちで、間違っていることを見つけると、青臭い正論を振りかざして小隊長や付准尉にまで噛み付いたので、少しけむたがられていたのだと思う。

タテ社会は慣れれば気楽なもので、私の中隊には私の「同輩」というものがあまりおらず、同期もいなかったので、横並びを気にすることもあまりなかった。
私が自然にすることがそのまま、私の地位役割になった。

この教え子も、そんな調子でなんとか保護してやれるだろう、そう思った。
「班長って優しいんですね」
「・・・」
「班長、私、好きですか?」
「おう。好きだぞ」
「そんならよかった。私も班長好き。えへへ」

私たちは辺りを見回し、身づくろいをしてその場を去った。
 長かった演習が終わり、機材の整備が済むと、制約がなければ交代で演習中の土日の分の代休を取る。木曜日・金曜日と代休になり、土・日とあわせて4連休になった。

自衛隊は一定の基準で駐屯地内に人を置いておくきまりになっているので、代休だからといって無条件に外出できるとは限らないのだが、運良く4日とも外出できることになった。
それで、木曜日に私は山本と遊びに行く約束をした。

 しかし、無粋な私はここでも困った。私も20台ではあったが、山本はついこの前まで18歳だった19歳である。

自衛隊で煮しめたような当時の私が休みの日にすることというと、外出してパチンコ屋へ行き、飯食っていきつけのスナックやパブで酒飲んでカラオケ歌って帰る。

たまにはスナックのねえちゃんとセックスすることもある。そんなくらいだったからだ。小学生のような山本が面白がりそうなことを何も知らないのである。
 結局、木曜の昼、何も考えないまま待ち合わせ場所に来てしまった。駅近くのマクドナルドの前である。

 秋だった。私服を着た山本を、考えてみると私は初めて見た。スカートをはき、Gジャン、Tシャツみたいなものを着ている。私を見かけると、「あー、班長ぉー」と手を上げて駆けて来た。少し化粧している。ところが、無粋な私にもわかるくらい、その化粧が下手だった。

犬の顔にマジックで眉毛を描いたようだ。そのくせ、開口一番、山本は
「もー、班長、まんまじゃないですかー、私服もぉー」
 などと言う。私はごく短いクルー刈り、黒茶の革ジャン、チノパンといういでたちで、パンチパーマではないにせよ、当時の自衛官の判で捺したような格好である。

 ヘタクソな化粧の山本にそんなことを言われ、自分でもそれがおかしくて、また、「小学生みたいな」と今まで思っていたのが思い直されていとおしく可愛く思え、逆に気分が明るくなった。何をして楽しませてやろうかなどと考えあぐねて困っていたことがそれで忘れられた。

 することを何も考えていなかったが、安直にそのマクドナルドでコーヒーを飲み、ハンバーガーを食ってしゃべった。山本は楽しそうによく喋った。

山本の人となりは、特技教育の折、身上を把握していたから知っているつもりだったが、私の知らないことも沢山喋った。

好きな音楽、好きな映画、俳優、高校時代、家族のこと、好きだった人のこと、中隊の嫌いな奴、退職した同期のWACの仲の良し悪し、旅行したこと・・・。
 気がつくと3時間もそうしていた。山本の話すのを聞いていると、話の内容よりも、彼女が安心し切っている様子がこちらにも伝わってきて、それでなにやら心が安らいだ。

 本屋に行きたいと言うから一緒に本屋に行き、ゲーセンを覗きたいと言うからついていってやった。服を見たいと言うから、一緒に見た。しかし、服は買わなかった。班長ご飯おごってくださいよう、と言うから、一度行った事のある洋食屋に連れて行った。小奇麗な所である。

肉を食うことにしたのでワインを頼むと、私も飲みたいと言う。未成年だが、まぁ少しぐらいいいか、と思って、デカンタとグラス二つにする。



飯を食い終わって、
「お前、今日、帰り何時だ?」
 と聞いた。自衛隊では帰隊時限が決まっているのだ。階級によっても違うが、例えば当時の彼女なら、普通は2200(午後10時)までで、その30分前には帰っていなければならなかった。

「えへへ~、班長、今日私『特外』ですよぉーん。じゃじゃーん」
と彼女は言って、身分証明書を取り出した。
 特外、というのは、特別外出のことで、外泊を許可する外出である。

当時は陸士には特別の事情がないと許可は出なかった。特別の事情とは、近所に住んでいる親の面倒を見る、などである。だが、陸曹になれば、一定の基準で、随時特外が出来た。

したがって私は外泊できるが、彼女は時間までにちゃんと部隊に帰してやらなければならない。だが、彼女は「今日は特外です」というのだ。

 外出が許可されると、外出許可証という小さな札をもらい、それを身分証明書に結び付けてなくさないように紐で縛って携帯するのだ。自衛隊の駐屯地の門を出入りするとき、身分証明書と一緒にそれを提示して出入りするのである。

 彼女がそのヒモ付きの身分証明書を開いて私に見せると、たしかに「特別外出許可証」の札がある。

「お前これ、どうしたんだ。よく許可下りたな」
「はい、おウチに帰りたいですー、って言ったら、ソク、許可でした、えへへ」
「あー・・・お前の場合は付准尉に直提出だもんな」

 普通、外出の手続きは、営内班長と言う者に外出申請を提出し、付准尉を経て、場合によって各服務指導者の捺印を貰い、中隊長が許可を出すのだ。

だが、付准尉から先は、ほとんどメクラ判である。外出申請の関門は、「営内班長」が最大のものであった。
営内班長は自衛隊の営内の、生活など一切をとりしきっており、営内班長を納得させなければ外出申請を上げてもらえないのである。

 ところが、彼女は、課業外は中隊から離れた「WAC隊舎」というところに起居し、他の中隊の隊員とは別の指導系統に属していた。私の中隊にはWACは彼女1人しかいなかったので、外出申請は特別に、付准尉に直接指導受けすることになっていたのである。

出来たばかりのWAC営内班の規則があってないようなものだったこともあり、所属先の付准尉がいいと言えば、それで通るところもあったようだ。

 この付准尉は定年前の老准尉で、自分の娘より年下の山本を見ると、おお、そうかそうかと何でも聞いてしまうのだ。今回もそうして、甘い許可を出したに違いなかった。

 なるほど、私にも下心がある。ぞんざい適当そのものの付准尉の仕事振りが、今日は私にはありがたく思えた。

 「ねーねーだから、班長、お酒飲ませてくださいよー。おごってくださいよお。カラオケとかやりたーい」
 当時は、カラオケボックスというのはごくわずかに出来だしたばかりで、カラオケといえばスナックやパブなどの酒場で楽しむものだった。だから、彼女くらいの小娘は、一度それを見てみたいと思っていたのかもしれない。

「でもお前、付准尉がお前んチに電話したらどうすんだよ」
 「そんなことするわけありませんよぉ。あの鈴木准尉がそんなマメな仕事してるの見たことないでしょー」
彼女は屈託なくケロケロと笑った。

私もスケベな普通の男である。担当直入に山本に言った。
 「おい、山本。このへんで酒なんか飲み歩くと、中隊の誰かにかならず出くわす。お前が特外の行動予定通りにしてないことはすぐバレてしまう。」
「あ、そうかー。」

「お前、だから、俺と今すぐラブホテルへ来い」
「きゃー班長、そんなもう、声、やーん」
声が大きかったようだ。隣の席の人がこっちを見たような気がする。

 「いや、すまん、・・・あのな山本。ラブホテルでも酒は飲める。映画なども見れる」
「へぇー、班長よく知ってますね」
「いやその、だから」
山本がおかしくてたまらないという風に声をひそめ、
「えへへへ、行きたい?ラブホテル」

「・・・」
「エッチ!」
 少しのワインに酔って赤い頬の山本は、妙に躁状態なのか、目が二重まぶたにとろりと下がり、にやにやしながら頬杖ついて私を見る。

 「どーしよっかな~えへへ~。・・・班長ぅ~、なんか硬派ぶってるような感じだけど、エッチじゃないですかぁ、んふふ」
「・・・いや、それは」
「きゃー班長なんですか男のクセにかわいいですねぇキャハハハ」
これはまずい。すっかりこの小娘にからかわれている。
 「うわ~、野獣自衛官に無理やり迫られて組みふせられるかよわいオトメですかぁ!犯罪ですよぉ班長、アハハハハ!」

私がムスっとして黙ると、
 「あ、なんですか班長黙らないでくださいよー。・・・よーし、じゃどーんといっちょ、イってみますかあ、班長!そこへ!その班長がムッツリ考えてたとこへ!!イヤラシイなぁチクショー、あははは」
 などと言って、パシッバシッと私の肩を叩く。酔っていやがる。それならと、わたしも普段と調子を変え、ちょっと冗談めいてみようかという気になってきた。

「なにを、小娘が。俺の肉体で泣きが入って、お母さ~ん、とか呼んでも知らんぞ」
「うっわー、なにそれ班長、げげげげー、卑猥卑猥ーぃ、きゃははは!」
山本はテーブルに伏して、どんどん叩いて見せたりしている。

 笑い転げる山本を連れて、勘定をすませ、タクシーを拾った。下心があったとはいえ、まさかラブホテルに一挙にしけこもうとまでは考えていなかったので、どこへ行ってくれというアテまではない。

なんとか普段の認識でそこそこのホテルが建っているあたりの地名を思い出し、運転手に告げる。山本はタクシーに乗っている間私の左手につかまり、まだ時々、おかしそうにクツクツ笑っている。

タクシーを降りて、そのホテルの多いあたりを歩き始める。木曜日であるせいか、どこのホテルも「空」のランプがついている。

 なんだか山本が無口になる。私の左腕にしがみついている。キョロキョロ周りを見ている。
 山本が何も言わないので、こんな程度ならそう不満もあるまい、というような、そこそこキレイなラブホテルを選び、チェックインした。

 部屋に入って腰掛ける。なんていうことのない、キレイめのラブホテルである。ベッドが大きい。山本は無口になり、キョロキョロと部屋を見ている。何か言うのかなと思ったが、何も言わない。

「どうした?」
「・・・班長、ホントにラブホテルに来たから、びっくりしました」
「はは、そうか」
彼女の肩を抱き寄せ、
「それは、悪かった」
抱きついてくる。
「班長、あのう。」
「ん?」

「・・・なんでもない」
「山本、娑婆で班長とか言うなよ」
「だって、班長じゃないですか。田中さんとか呼んだら、別の人みたい」
「そうか」
 キスする。ワインの香りがする。抱きしめると、一日歩き回ったあとの女の匂いがふんわりと漂う。耳の下や首筋にキスし、なめる。
「あ」と山本が声を上げる。突然、山本は私を突き放し、
「班長、おフロあるんですよね、ここ」
「あー、そうだろな」
「わたしおフロ入るー」

 そう言って、入り口のほうの風呂のドアにバタンと飛び込む。考えれば汗臭い体が恥ずかしいかもしれない。本当に私も無粋である。

 しばらく煙草を吸い、部屋のあちこちを眺めたりする。ルームサービスのメニューを見たり、ベッドのピローキャビネットにコンドームが入っているのを見たりする。

 山本が「お待ちぃー」と、言いながら、バスローブを着て出てきた。かわいい。頬などつやつやだ。私も入れ替わりにシャワーを浴び、バスに湯を張って温まり、歯を磨く。

 出ると、山本はベッドに入って布団をかぶって、大きい目でこっちを見ている。布団をめくり、山本の脇へ私も体を滑り込ませる。「山本」と言って抱き寄せる。山本もニコッと笑い、「班長ぅー」と言う。山本の体を起こし、私の胡坐の上に横座りにさせる。

彼女のバスローブを開くと、すぐに肩から落ち、白い上半身があらわになる。本当に細い体だ。自衛隊で体を動かすせいか、ムダな肉がない。比例して乳房も小さいが、愛らしい体つきなのでそれでよかった。

 キスしながらわき腹とおなか、乳房の下あたりをさすってやる。キスしている唇の下から、んふ、んふ、とくぐもった声がする。唇をこじあけ、舌を入れる。いとおしさが募り、力を入れて抱きしめる。うぅーん、と彼女がうめく。乳房を大事に撫でてやる。

掌にやわらかい乳首が転がる。山本の髪と体から石鹸のいいにおいが立ち上る。
 明かりのあるところで見る彼女の体の、白々とした美しさは、このまえの演習場の時とはまた違う種類のものだった。片手に満たないような大きさの乳房は、小悪魔か妖精のそれのようだ。

乳首は白っぽいような色の肌色で、乳首が屹立していなくて、男の乳首のように平らだった。だが、その乳首に唇をつけ、なめ、吸うと、ピンク色に染まって乳首が硬くとがった。小さな木の実のようだった。

硬くとがった乳首を唇の間できゅっとはさむと、「あっ、あんっ」とかすかな声が漏れる。胸を掌でさらさらと撫で、そのときに硬くなった乳首が掌で転がると、「はっ」と、息を吐くような感じになる。

 バスローブの袖を抜かせる。私もバスローブを脱ぐ。二人ともそれで一糸まとわぬ姿だ。キスしながら彼女の腰に手を回し、横を向かせる。抱きしめながら右手でお尻を撫でる。
無駄な肉がなく、それでいてしかもやわらかい和菓子のようにふるふるとした手触りのお尻だ。

存分にお尻の感触を楽しみ、ちょっとお尻の割れ目に指を沿わせてみる。途端、ぎくりと彼女のお尻と腰がすくみ、「あーん、班長ぅー」と言う。
 何度かそんなことを繰り返し、今度はお尻の割れ目よりもっと前のほうへ指を進めてみる。お尻のときよりももっと鋭い反応がある。「あんっ!」

指をやさしくまさぐると、とろりと暖かい潤いがこぼれる。「ん、んう」
 それをゆっくりとまさぐり、前のほうに指を滑らせたり、指先でお尻のほうまでなぞったりする。指を前のほうに滑らせると、彼女は逃げるように腰を前に出し、やわらかい陰毛と、すべすべと締まったおなかが私のペニスのあたりに密着する。

彼女の頭は私の目のところよりすこし下にあり、私の胸に口と鼻をくっつけている。指を動かすと、そのたびに彼女の脂肪の薄いおなかの下の腹筋がびくり、どきりと動くのがわかり、同時に声が「あっ、うっ」と漏れる。

 体を突然離し、彼女を仰向けにする。まじまじと彼女の全身を見る。細っこい、少女の体だ。
 「やぁ、班長エッチー」と、赤い頬を光らせて、弱い声で彼女がいい、股と胸を手で覆う。

「かわいいから見せて」と言うと、
「やーん、だって、私、すっごいちっちゃいじゃないですかー」
「大きけりゃいいってもんじゃない。大きいほうがいいってのは、男をナメてる」
「えっ、へぇー・・・そうなんですか、あっ!」
 彼女が意外な顔をしてるのを尻目に、パッと動いて胸を隠した手をつかんで押さえる。

「きゃ、あ~ん」
ちょっと体を離し、彼女の胸をじろじろ見る。
「あーん、班長見てるー。やーん」
 顔を真っ赤にしている。ゆっくりと顔を寄せていき、いきなり乳首を含む。

さっきよりも反応が敏感になっている。「はんっ!あんっ」舌で転がすようにすると、「ああ、あ、あ、ん、ふ、ん、ん、あーん」と声が変わる。

 彼女の手を離し、彼女を横向きにする。彼女の足の間にこちらの腿を割り込ませる。
膝をすこし曲げさせる。彼女の乳首を口に含んでなめさすりながら、前から手を滑らせ、恥丘に掌をそっと添える。

「うんっ」と、彼女の腰が震える。そろりそろりと指先と手を前後させると、
そのたびに彼女の足がびりびりびりっ、びくびくびくっ、と振動する。中指で真ん中あたりをなぞると、ヌルヌルに潤んでいる。それを、左右の陰唇に塗るように、スルスルと指で撫で動かす。

「ああ、あっ、あっ、あっ、んっんふう、んっんっ、やぁーん、あっ」
 中指を少し奥に進める。彼女のどこかが開いて、とろり、とあたたかい湯のような潤みがあふれ出る。指をゆっくりと上のほうへ探り、クリトリスを探し当てる。
「きゃんっ!!あっ!」

ひときわ大きい反応だ。
 下の方の潤み具合にくらべると、クリトリスはさらりつるりとしている。下の方から潤みをすくいとってきてクリトリスのまわりに塗るようにしてさすってみる。

「あっ、あっ、あん、あン、うっ、んう、んっ」
彼女の肩や背がびくん、ぎくんと大きく跳ね上がる。
手の動きを止めて彼女の顔を見ると、閉じていた目をあけて、「や~ん、班長やらしいですようあっ!あっあっあっ」指を動かすと同時に語尾もメロメロになってしまう。

 指を休まず動かしながら、唇を胸からおなかへと動かしていく。腹筋の縦の割れ目がうっすらと見えるほどに脂肪の薄い痩せた体だ。おへその周りに舌を這わせる。彼女のおなかに力が入り、同時に「ふぅぐっ」と声が漏れる。

体をすばやくずらして、彼女の脚の間に自分の頭を入れる。
「やぁ~、班長、やーん」
強く股を閉じ、腰をひねって私の頭を押す。
「駄目、はずかしいですよ、やーん、いやぁ」

しかしやめない。彼女の腰が浮き上がったところを、がっちりと上下から抱え込む。
 とろとろに濡れた彼女の秘部が目の前にある。長くて細い、小さい面積に生えた陰毛が、肉が薄いためにそこだけ際立って盛り上がって見える陰阜の上に流れている。

その下は、色白のために赤くさえ見える割れ目があり、ぽつんと、クリトリスの肉莢がのぞいている。
ぷっくりと両側から大陰唇が盛り上がり、濡れた赤い色の小陰唇がその間から少しだけ出ている。肉の合わせ目がやわらかそうに終わった先に、セピア色をした肛門がすぼんでいる。両側の大陰唇に舌をはわせてみる。

「やぁん、あっ、ああ、あんっ!」
びくん、どくんと腰を跳ね上げ、大きな声になる。
「班長、はずかしいですーあっ!!あ、あ、うんっ!!」

 彼女にはあまり余裕がないらしい。私は舌先で彼女の肉襞を分ける。とろとろと潤みが下にこぼれ落ちる。ほのかに女の香りがする。

 とがったクリトリスに舌先を触れると、「ひぃうう!」と声の音程が上がった。触れた舌先をクリトリスから離さず、唾液と彼女の愛液をいっしょにしてぬるぬると動かすと、
「ああああああああ、あんっ、あっあっあっあっあっ、はぁ、ひぃ、あっあっあっあっあっ、ふぅあぅ、あ、あ、あ」と、声が大きくなる。

 陸上自衛隊の制服を着て髪を結ったかわいらしい、それでいてキリリと締まって見える、子供子供した山本はそこにはなく、全感覚を私が舐めるクリトリスにとられてしまっている。

 「あ、あん、あっあっ、んふ、んんんんんんあっあっ!!」ぎくぎくぎく、と機械のように腰が動き、腰をそらせ、ぶるぶるっ、と震えたかと思うと、山本の力がすっと抜ける。達したようだ。

 体を上に戻し、ティッシュで顔を拭く。また山本の体に体をそわせ、山本の頬にキスしてやる。肩の後ろに手を回し、抱きしめながらキスする。手を腰やお尻に回し、さすってやる。さすると、びくびく、ギクギクと体が敏感に震える。

「あっ、はんちょあっあっ、あんもう、班長うんッ!!だめ感じるからあんっ!」
などと、可愛い反応をしている。いとおしくなり、また力を入れて抱きしめると
「あーん、班長、体がビリビリしますよう」と言う。

 そのまま休まず体をなで、さすり、キスしてやる。乾いていたようだった彼女の肌がしっとりと湿りはじめ、ほんのりと赤みをさしている。

脚の間を見ると、濡れた跡が股から筋をひいている。その眺めは、細い体とは不釣合いにいやらしかった。
山本が私のペニスを掴んでくる。ほう、と思い、体を起こし、座ってやる。

 「見ていいよ」というと、ぱぁっと顔に朱を注ぎ、それでも熱っぽいまなざしで私の股の間に顔を寄せてくる。掴んで、裏と表をひっくり返して見ている。

「班長、舐めたりしてもいいんですか?」と言う。「ああ、いいよ」
 まるでキャンデーでも舐めるように、ペロリ、ペロリと舐めている。

正直、あまり気持ちよくなかったが、色白で目の大きい、雛人形を濃くしたような顔立ちの山本がそんなことをしていると思うと、いやらしさが倍増して私は興奮した。

 山本を寝かせ、ピローキャビネットからコンドームを取り出す。彼女は口に手を当ててそれを見ている。コンドームをつけて彼女の脚の間に入る。

彼女は片方の手で顎の辺りを触り、片方の手でシーツを掴んでいる。ペニスを彼女の陰唇になすりつけ、彼女の潤みをまぶす。

クリトリスを亀頭でのらりくらりと撫でると、ピクン、ギクンと鋭い反応が返る。そのまま腰を進めていく。

「んー、んんーんーーーーーーーっ」
彼女の全身が硬直し、長い声、うめきとも悲鳴ともつかない声が絞り出される。
「い、痛っーーーッ」
「山本。大丈夫?・・・痛いのか」
「はい、少し」
「お前、処女なのか?」
「はい」
 えっ、と思った。見た目の割には、彼女が大胆な行動を取るから、子供子供した態度とは裏腹に遊んでいるのではないか、という先入主をさっきからの私は持っていたのだ。

「そうか、すまん、やめとこうな」
「あっだめ、そのままして下さい」
「大丈夫なのかよ」
「だって、がんばるんですから」
ちょっと笑ってみせる。私はズキンと興奮した。たまらず彼女の唇に吸い付く。
「うぅ~んんん・・・アフッ」
唇を離すと彼女は、息を切らせて、
「班長、苦しいですよぉ」と言う。

「ゴメン。可愛かったから。」
「もっとして」
 もう一度彼女の唇に吸い付く。それから姿勢を直して、もう一度ペニスをそこに当て、そろそろと進める。3、4分ほどもかかって、ゆっくりとペニスを彼女の中に埋めた。

全部入った、と告げると、その間力を入れたり抜いたりしていた彼女の体中からすとん、と力がぬけ、ベッドに体重をあずける。しばらくそのまま彼女の唇を吸い、胸やわき腹にキスする。

再び彼女の体に力が入り、そのたびペニスの根元が縛るように締め付けられる。
 キスしながらそろそろと腰を動かしはじめる。むぐぅ、んぐ、んぐ、んぐ。くぐもった声がする。唇を離すと「あっ、あっ、あ、・・・あ、・・・あ、あん」と言う声に変わる。

 彼女の中に、なにか、親指の腹のような、押すものがある。腰を前に出すとそれがノロリ、と奥へ行き、ペニスを擦る。腰を引くとついてくる。
彼女の入り口は、ゴムバンドかなにかで締め付けているように、痛いほど締まる。

 夢中になり腰を動かす。彼女の潤みが増し、最初ほどは痛くないようだが、依然、彼女の両足は力がはいり、ぎこちなくがくがくとゆれている。眉間につらそうなしわがよっているが、「あっふっあっあっ」と漏れる声はあべこべに大人の女の喘ぎだ。

10分ほども動いたか、彼女の様子も、どうも上り詰めるような感じではない。
一度区切ってやろう、そう思った。
彼女を抱きしめると、心置きなく放出した。

腹の底から射精したような感じで、ペニスが何度も何度も爆ぜかえり、一体どこまで出るのかわからないというほどに精液が出た。

私のペニスが跳ね回るのがよくわかったらしく、彼女は熱っぽい目で私を見つめ、私の首筋に腕を巻き、抱きついてきた。

 抱き合ってそのまま過ごした。ちょっと話をしながら、彼女のすべすべした肌をあちこちなでた。くすぐったいのか、彼女の肌に粟粒が立ち、「やーん、もう、班長エッチですよほんとー」と身をくねらせる。
胸をなめると、「や、あ、あっ」と、性的な声の調子になる。

 思いついて、ベッドの腰の辺りを見てみる。コンドームをはずして、それも見てみたが、出血はないようだった。
スポーツなどをすると、稀に処女膜が裂け、出血しない場合があると聞いたことがあるが、彼女がどうもそうらしい。

高校のとき、幅跳びで県の大会までなら出たこともあると言っていたのを思い出した。
 横になったまま彼女の後ろにまわり、背中から抱きしめる。胸を手で包み、背中にキスする。

片手を下に下ろし、秘部に手をやると、ギクリと体が動き、腰を引く。そうすると、彼女の締まったお尻が私のペニスに擦り付けられる。「あっ、班長、も、エッチ、あっ、あん」

 わき腹に指を這わせると、ギクギクギクッ、と体が震える。もう片方の手を休まず秘部に進めていく。まだ秘部はとろけきったままで、内腿に潤みがこぼれている。

「班長、あっ、また、あっ、あんっ」
 わき腹から乳房へかけて、何度もなでさすってやりながら、ツルリとした腋の下をなめてみる。きゅっ、と彼女の全身に力が入る。乳首を指の腹でくるりくるりと回しながら、右手は休まず秘部の奥へ進める。今度はじらさず、クリトリスに指を直行させる。

 人差し指と薬指で、彼女のつつましい合わせ目を押すようにしながら、中指でクリトリスの先端をつつく。
「あんっ!!あんっ!!はんっ!んっ!」
 彼女の反応がまた鋭くなっていく。

体中をのたうたせ、感じている。その合間に切なげにお尻をゆすっては、「あ~ん、はんちょあっ、あうっ、は、班長、もうーあっ、あっやんっ、やっ、あっ」と何か言おうとする。
 彼女のそこは、あきれるほどとめどなく、とろとろと潤み続ける。お尻や陰毛まで濡れている。

「山本、びしょびしょだな」
と言うと、
 「だって、あっ、あんっ!は、はんちょあんっ!班長がっ、あっ、あっ、班長が、わる、あっ、あっ、悪いんですあっ、んっ、んう、あん」

 私は、いやらしい音を奏でる楽器のような山本の体に、すっかり没入していた。69の姿勢になり、山本の跳ね回る腰をがっちりと抱え込み、舌でこれでもかと山本のこじんまりした肉の合わせ目をかきまわした。
山本もおずおずと私のペニスを掴んだが、とてもそれどころではないようだ。

 合わせ目を上下になめる、大陰唇の外側をなめる、つつく、お尻の穴をなめる、舌先で小陰唇をかきわけ、上下にゆする、膣に舌を差し入れるようにする、舌の裏でクリトリスをなで上げ、そのまま舌先を左右にゆする。

そうした一つ一つの動きのたび、山本の腰はがくんがくんと力が入り、「やっ、あっ、んっ、ん、ん、ん、あんっ」と可愛い声が出る。
 クリトリスを唇の先ではさんで顔をゆすると、「んあああああ、あ、あ、あ」と腰の動きが強くなる。

 私のペニスもすっかり復活している。体を入れ替え、コンドームをつけると、彼女を仰向けにして脚を開かせる。山本の顔がいきんだように赤くなっている。ペニスを山本の中に埋めていく。

「んーーー・・・あっ、いっ・・・んっ、んっ」
まだ少し痛いようだ。
「痛い?」
「いいえ。大丈夫です。」
 さっきよりかなり潤んでいて、ペニスもわりとスムーズに入っていった。つながったまま彼女の脚を上へまわし、横をむかせて彼女の後ろに回る。
「あっ、やんっ!」
ペニスが回る感触に山本が声を上げる。

挿入したまま後ろから乳房をなで、前に手を回してクリトリスに触れる。
「んっ、あっ」
 途端に腰が動き、ペニスが締め付けられる。少し手をはなし、思い出したようにつん、と触れると、またクンっと膣が締まる。つん、クンッ、つん、クンッ、と繰り返していると、
「ああん、だめ、班長、えっちですよあっ、あっ」
などとかわいい抗議である。

 掌をゆするようにし始めると、「んんんん、ん」とそれに気がいき、だんだん体が反り返り、ペニスが抜けそうになる。

腰を追いかけ、掌をゆすり続けると、膣がとくり、ぴくりと痙攣するように動く。奥にある肉がそれと同時にぬるり、のるりと動いてペニスを押す。

山本がびくんと背を伸ばすような力の入れ方をする。休みなく、今度は山本を抱え上げるようにして起き上がり、私の胡坐の上へ後ろ向きに座らせるような格好にする。

 下から突き上げるようにすると、「やー、やっ、やん、あっ、あっ、あ、あ、あんっ」とあられもない大きな声になり、手を前につくと自分でも腰をくねくねと動かし始める。

それを起こして、彼女は後ろ向けにしたまま、私の体の上に仰向けにさせ、左手で乳首をくねくねといじりながら右手を彼女のクリトリスに伸ばし、くるりくるりと撫でてやる。

 「あっ、あん、あっ!んっ、んっ、んっ、はぁ、ひぃ、んっんっんっんっんっ、ふぅ、はぁ」
 彼女が上り詰めていくのがわかる。挿入してやみくもに動くより、こうしてクリトリスをいじってやったほうがいいようだ。

 「班長、はんち、あっ、あっあっあっあっあっんっんっんっんっんっんっあ、あん、あ、あ、あ、んんんんっ、うんっ」
 私の体の上で仰向けになったまま、彼女の背中にぐっと力が入り、それから急に今度は両足を抱え込むようにして私の指から逃げようとする。
それを逃がさないように、しっかりと彼女の腰に両手を回し、びくりとくりとやさしく爆ぜている彼女の中へペニスをもっと沈ませ、抽送を繰り返す。

「やん、班長、あんっ、ダメ、あんっ、だめっ、あ、あん、あんっ」
 より敏感になるのか、山本は体をのたうたせている。びくびくっ、と、まるで死ぬ前の人が痙攣するようなぐあいに何度も体を突っ張っている。

 私もどうでもいいような放胆な気持ちになり、途端、射精した。2度目だというのに驚くほどペニスがはね続ける。
・・・山本との一夜は、こんな具合だった。

 その夜、私たちは一緒に風呂に入り、ベッドに戻ってビデオを見、ルームサービスのビールを飲んで、また愛し合い、裸のまま抱き合って泥のように眠った。

翌朝、起きてちょっと照れたような顔つきでお互いを見詰め合い、ホテルを出て喫茶店で朝食を食べ、映画を見に行った。まだなにかはさまっているみたい、と小さな声でありがちなことを言う山本に欲情し、またラブホテルに入った。あきれるほど何度も私たちはつながりあった。

私たちは恋人になったが、長くは続かなかった。それは私が転属したからである。
 陸上自衛隊は主として5つの方面隊で全国をカバーしている。

転属は、その方面隊内の部隊で済むことも多いのだが、私は、所属していた方面隊とまったく違う方面隊へ大きく異動したのだ。遠距離、どころではすまない距離だった。

山本と付き合い始めたのが9月下旬、私が転属したのは次の3月だった。無論私たちは話し合った。山本は泣きながら私に抱きついた。だが、陸曹と陸士では、当時の自衛隊では到底遠距離恋愛というわけにいかなかった。

連絡など、今のように自由ではなかったし、ましてや休暇をとってしょっちゅう会いに行くということなど、当時の外出制度のもとではムリであった。

 彼女と結婚する、という手段があった。だが、それは簡単なことではなかった。お互いの家の事情というものもある。転属を打診されてからたった2ヶ月ほどの時間内には、その話を進めることはできなかった。

今のように「できちゃった」などという結婚の仕方は当時は流行していなかった。

お互いに納得して別れたと思う。
 転属者の見送りのとき、彼女は列中から、朝礼台の上の私をまっすぐに見た。わたしもまっすぐ見た。中隊が一列に並んで、転属者が順番に挨拶しながらその前を歩いていく。
山本の前でわたしは「さようなら」といった。山本も「さようなら」と言った。それで終わった。

彼女とはそれきりぷっつりと音信も交わさず、それから10年以上も過ぎた。

 ある時、ひょんなことから彼女のその後の話を耳にした。

私と彼女の関係などまったく知らない第三者の同期生との雑談で聞いたのだ。私と別れたあと、彼女は陸曹候補生の試験に一発で合格してすぐに陸曹になったそうだ。

しばらく中隊で勤務したあと、幹部の試験にこれまた一発で合格して、どこかの師団司令部にいるという。頭の良い彼女ならではのその後だった。今は1尉で、結婚して子持ちであると。

 人事班へ行って、幹部自衛官名簿の閲覧を請うた。確かに、同期生から聞いたとおりに姓の変わった彼女の名前と、某連隊某中隊、という古い部隊歴があった。

 どんな恋をして結婚したのか、どんなお母さんになったのか。知りたくもあるが、知ったからとて詮無いこと。それ以上の詮索は、未練でもすっぱりとやめた。

 一昔よりちょっと前の、たいしたドラマでもない、ありそうなくだらない恋愛である。
だがしかし、私には懐かしい恋愛である。

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